こんにちは、ただほんです。
今日は、認知症の世界①をお送りします。
認知症の世界
介護の仕事の中で、認知症は切っても切れない関わりのある病気ですね。介護士の皆様は、いろいろな認知症の諸症状を見ていると思います。
食べたことを忘れてしまったり、時間が分からなくなってしまったり、トイレの場所が分からなくなってしまったり、お風呂を拒否されたり、時には暴力を振るわれたり、その諸症状のゆえにどれだけ大変な思いを介護士はしていることでしょうか(家族介護はもっと大変ですよね)。
『認知症の世界の歩き方』という本がありますが、認知症を理解する上では役に立つことと思います。
ただ、やはりどんなに理解しようとしても難しいことがあります。そこに書かれていないこともあるでしょう。
認知症の世界は、もしかするとタイムリープ(時間が戻ること)みたいなものなのかも知れません。本人も気づかないで時間が戻っているのかも知れません。
同じことを繰り返すこと、同じところを行ったり来たりすること、同じ言葉を繰り返すこと、それらはタイムリープしているのかも知れません。(認知症の世界②入浴を嫌がるについてもあります。)
トイレを行ったり来たりする
ある時、働いていた施設に70代の女性の利用者様が入居されました。足腰はしっかりしていて、話すことも出来るし、食事も自立でした。特に問題ないように見えましたが…。
その日、泊まって初めて分かりました。
1分おきぐらいに、トイレに行ったり来たりされるのです。
ユニットの職員のいる前を行ったり来たり(トイレはユニットに2つあり、各部屋にはありませんでした)、それを1分おきにされると、こちらの気がオカシクなりそうでした。
それだけでなく、トイレの中のものを全て服の中に入れて持っていってしまうのです。トイレットペーパー、清拭タオル、ゴミ箱の中のもの、全てです。
これは困ったということで、トイレから1つずつ物を撤去していきます。
そして、一つのトイレだけでなく、隣のトイレからも、隣のユニットのトイレからも持っていくようになります。
だんだん対応できなくなりますが、とりあえずそのユニットのトイレからは、完全にトイレットペーパー、清拭、ゴミ箱が撤去されました。
一人の利用者様のためにそうしないといけなくなるのです。
その利用者様の認知症の症状は、トイレでした。
その姿を見ていると、「トイレ行き過ぎ!」「さっき行ったでしょ!」「もうやめてください!」とついつい叫んでしまいました。(本当はダメですが…。)
認知症って大変ですね。
なぜそうなるのか?
1、頻尿になりやすく漏らすことを極端に気にしている。
高齢者は年齢とともに、頻尿になりやすいです。そして、人にはよりますが漏らすことを極端に気にします。
その結果、トイレに行ったり来たりが起こるのです。
40,50代でもトイレに行った後、尿が出きっていないようなことを感じて、もう一回トイレに行くことがあります。
なので、70代以上の方は、残尿感が強く、トイレに行く回数が多くなるのかも知れません。
認知症になれば、もっとトイレに行く回数は多くなるでしょう。
トイレに行ったことを忘れてしまいますが、残尿感は忘れていなく、漏らすことの恥ずかしさも消えていないからです。
その結果、トイレに行ったり来たり…。
大変です。
2,そのままの理由。トイレに行ったことを忘れてしまっているから。
その言葉のままですが、トイレに行ったことを忘れてしまうからトイレに行くのです。
これは、タイムリープです。
トイレに行ったことが、記憶から飛んでしまうのです。そして繰り返してしまいます。
「さっき行ったでしょ!」
なんて言っても、行ったことが記憶にないので聞く耳持たずです。
その人の記憶からは、トイレに行った瞬間の記憶が飛んでしまいますが、見ている私たちの記憶は飛んでいないので、それはイライラしますね。(あと、薬の影響もあるかもです。)
対応策は?
相手の利用者様のことを理解すること。
無目的に歩き回っているように見える理由
「認知症の方が徘徊するので困っている」という話をよく聞きます。しかし、認知症のある方はあてもなく歩き回っているわけではありません。家の外に出るには、必ずなんらかの理由があるのです。
それは、仕事に行く、だれかに会いに行く、買い物に行く、音楽や演劇を鑑賞に行くなど、それぞれです。そして、その行動は、過去の思い出や習慣に基づいていることが大半です。
認知症の世界の歩き方より
つまり、トイレに行ったり来たりする方も、徘徊する方と同じで、その行動は過去のことに結びついていると思います。
たとえば、過去に漏らしたことで怒られたことがあるとか、恥ずかしいことは絶対にしてはいけないと子供の時から教えられてきたとか、過去の記憶に支配されているのです。
それを知ることで、自ずと対応は決まってきます。
安心できる環境を作っていくこと。
決して、怒られない、恥ずかしいことも受け入れてもらえる、という記憶を作っていくことです。
そうすることで、全部ではないですが、少しは症状が和らぐのではないでしょうか。
難しいのは、その時間を介護職が取れるかですね。忙しいし、夜勤も休憩もないですし。
国の方、介護の世界をもうちょっと、生きやすくしませんか?介護士も、利用者様も、もっと楽に生きれるように、ぜひ考えてください。
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