オムツゼロ、機械浴ゼロ〜その人らしいというのはどういうことか

介護系ブログ

ただほん
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最近、Twitterに機械浴ゼロについてたくさん書かれていたので、今日はただほんが思うことを書いていきたいと思います。

 はじめに

ある施設では、『オムツゼロ、機械浴ゼロ』などを目標にしています。

5大ゼロや7大ゼロなどをうたっていました。

少し前では、ワタミ系の有料老人ホームでこれを掲げていました。

ワタミ系の有料老人ホームでは、その結果、たしか、パーキンソン病の利用者を個浴で入れて、その場を離れ、85分放置し溺死させてしまった事故(事件)がありました。

ゼロを掲げているのは良いのですが、その結果、命を落としてしまうなら最悪です。

ゼロよりも、命のほうが大事です。ゼロよりも、安全のほうが大切です。

機械浴を否定してその『ゼロ』の講演などをしている人が、過去に施設の機械浴を、夜中に忍び込んで破壊していた!それも二度も。

ありえないと思いますし、目標のためには手段を選ばないやり方はとても危険です。はっきり言って犯罪ですから。

そういう人が掲げている『ゼロ』は信用できません。

 オムツゼロ、機械浴ゼロとは?

おむつゼロとは?

おむつゼロとは、おむつではなく、トイレ、もしくはポータブルトイレで「排便」することを定義した、「介護力向上講習会」という研修のスローガンです。平成16年度から全国老人福祉施設協議会が主催している取り組みで、介護保険制度の理念である『自立支援』を実現するために「介護力向上講習会」を約11年間開催していたそうです。

老人ホーム相談プラザより

大きな軸として4つの基本ケアがあるそうです。

(1)水分

1日1.5リットル(またはそれ以上)を飲む。水が細胞を活性化させ、身体と意識の両面を活性化させていく効果があるそうです。

(2)食事

1日1500kcl以上の食事を「常食」で食べる。常食とは「通常の食事」という意味でミキサー食とかペースト食ではないことです。常食は食物繊維が多く、もし常食で不足している場合はファイバードリンクや寒天ゼリーなどで補填するそうです。

(3)排便

毎日〜2,3日に1回、自然排便。下剤を使わずに自然排便(生理的排便)というのがポイントですね。トイレという環境を脳が認知して「排泄司令」を出すメカニズムを活用し、毎日同じ時間にトイレに行く、座って排便するのが重要とのことです。

(4)運動

歩行が主。歩行により全身の筋肉が動き、覚醒中枢(覚醒とは、はっきり目覚めていて意識がある状態)が刺激され、結果的に覚醒レベルが向上するそうです。ADL(日常生活動作)があがれば、意識レベルがあがり、結果的に本人の活動意欲も向上するそうです。

老人ホーム相談プラザより

この目標を掲げて『おむつゼロ』を目指している施設があります。

僕の今まで勤めていた施設では、『ゼロ』を目指しているところはありませんでした。そういう施設で働きたいとは思いません。

『機械浴ゼロ』もそうですが、完全にゼロにしていくことが目的ではなく、あくまでも、その人らしい生活に近づけていくことが目的だそうです。

その人らしいってどういうこと?その人らしい、トイレに行けている人、個浴に入っている人?

勝手に決めるなよ!って思いませんか?

 問題は?

「自立支援」とは、介護が必要な人が自分の能力に応じて自立した生活ができるように支援・介護することです。基本となるのは、日常生活場面において、できることは本人にしてもらい、できないことは介護職がサポートするということ。

たとえば、左麻痺の人がいてお風呂で左手は自分で洗えますが、右手はどうしても洗うことができません。左が麻痺だから。

なので、そのできない部分、右手を洗うのを手伝います。できることはやってもらいますが、できないことはサポートします。

何が問題かというと、左麻痺の人には左麻痺のサポートが必要だし、右麻痺の人には右麻痺のサポートが必要で、その病気、その病気に合うサポートがありますし、人それぞれサポートは違います。

千差万別のサポートがあるはずです。

それぞれに合ったケアプランを考えなければいけないし、個別ケアを目指さなければいけません。

最近は聞かなくなってきましたが、昔「個別ケア」という言葉をよく聞きました。

「個別ケア」食事から入浴、排泄に至るまで、利用者一人ひとりの個性やニーズに合わせたケアのこと。いわゆる「ユニットケア」ですね。

つまり、一律に『ゼロ』を目指すのはオカシイです。ある人にとってはおむつではなくトイレ。

ある人にはおむつ。もしくはリハパン。ある人には個浴、ある人には機械浴、リフト浴。

それぞれを、個別に考えて、ケアプランを考えていくべきです。一律はだめです。

おむつもその業者さんがいろいろ考えて作られたものですし、機械浴も座位も保てないお風呂に入れない人が、入れるように考えられた素晴らしいものです。

それを、私たちはその人その人に合った物を選んでいき、活用していくべきです。

実は『おむつゼロ』は経費削減のためではないでしょうか?どこの施設でも経費削減のためにパット交換の回数を減らせ、サイズを小さくしろ、など言ってきますから。

体の良い経費削減です。

『機械浴ゼロ』もそうです。個浴の檜風呂?でも、だだっ広いところに3つ檜風呂があり、プライバシーもありませんね。

これも経費削減でしょう。

だんだん、年を取ってくると、水分を取れなくなりますし、食事も取れなくなっていきます。

一律には行きませんよ。

それぞれに合わせていろいろな手を考えていき、悩みながらもいろいろ試してみること。

それが私たち介護職に求められている『介護の質』だと思うのです。」

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